日本神道
最近はパワースポットブームもあり、神社にに参拝する人が多くなっている印象です。辰年の2024年は龍をお祀りする神社が人気だったり、巳年の2025年は蛇をお祀りする神社に多くの人が参拝に行かれているようです。そもそも神社は、鎮守の森の神域で神様の気配を感じとり、神様を畏(かしこ)む場所です。昔は日常生活の中に溶け込んでいた神様を畏む場所が、現代社会ではその気配を感じ取ることが難しくなったのか、今ではパワースポットという形で認識されている気がします。
昔から日本人は大自然の中で「生かされている」ことに感謝し、森羅万象に神が宿るという考え方を持ち、自然の恩恵と神々のご加護を祈ってきました。シンボルや偶像ではなく山や木、川、石などに依りつく八百万の神をお祭りし、自分に命をつないでくれた祖先に感謝しつつ、自然のあらゆる物に畏敬の念を抱き感謝することで、人間と自然が調和して平和に暮らせるという考え方が根底にあります。
自然を感じづらくなってしまった現代社会において、今もう一度自分の足元を見つめ直すためにも、日本神道を学ぶことは大事なことではないかと想っています。ブッダの教えのようなものではないですが、自然と調和して生きる、森羅万象に感謝して生きることは、利他の心にも通じるところですし、何よりも日本人として日本の文化や歴史・神話を大切にして生きたいという想いを強く持っています。
日本の起源は神話として古事記・日本書紀に記されていますが、正直名前は知っていても内容をしっかり読んだことはありませんでした。そこで、神社本庁が監修する神社検定(神道文化検定)を受験しながら、古事記の内容や神社に関する知識を学んでいます。神社への参拝が楽しくなりましたし、どこかで見た事がある神々の名前も神話と共に覚える事ができて、日本人のアイデンティティを大切にしながら生きています。
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【神社への参拝】
神社では、何を想って参拝されているでしょうか?縁結び・家内安全・交通安全・安産祈願・厄除け祈願など、神社で祈る内容は多岐に渡りますが、自分のお願い事ばかりしていないでしょうか?神社は神様に感謝を伝える場所であり、まず日々の平穏や見守ってくださっていることへの感謝を伝える事が大切です。自分に都合の良い願い事だけをするのではなく、神様や自然への感謝を伝えることが参拝の主旨になります。
「何かを叶えてもらうのでは無く、こちらからご神前に趣いて、清らかな心で柏手を打って参拝する」事が大事であると想います。姿勢を整えて礼節を重んじて参拝するという、普段とは異なる行動や意識を持つことで、自身の内側(心・魂)から感謝の意をお伝えする事ができる気がします。鎮守の杜の空気や雰囲気を五感で感じ、そこから受け取る何らかのエネルギーを感じ、そして神前で感じる非常に厳かな感覚に包まれると、心・魂に刻まれている日本人のアイデンティティが溢れてくる様な気もします。
実は神社というのは「お願いごと」をするために参拝するのではなく「感謝」をする為に参拝するところと言えます。日本語の「いのり」は、「生きる(い)ことを宣(の)べる」が語源とされていて、生かされている命に感謝し、見守ってもらうための行動を宣言することに由来するとの説があります。つまり「あなたの仰せに従います。あなたが望むように生きています。ありがとうございます」という意味とも言えます。今自分が生きている事がいかに恵まれていてありがたいかを感謝しに行く場所が神社であるということです。
もう一歩進めて考えると、「誰かの、何かのお役に立てますように、私にできることがあれば、お役目をください」と、祈ることも良いとされます。神様はみんなの祈りを受け止めるだけでも忙しいのです。忙しい神様のお手伝いをさせてくださいという気持ちが、きっと自分の気持ちや行動を変えるきっかけになると想います。
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【新嘗祭】
新嘗祭は、その年に収穫した新穀を神に捧げ感謝する、古代から続く秋の祭りです。明治時代に新暦が導入されると、新嘗祭は11月23日と定められ、祝日となりました。しかし、1948年にGHQにより「国家神道の色彩が強い新嘗祭」を排除するため、11月23日を「勤労感謝の日」として国民の祝日にすることを提案し、その結果、新嘗祭は皇室の祭事として残されましたが、国民の祝日としての「新嘗祭」は廃止され、全ての勤労に感謝する日として「勤労感謝の日」に改められました。
新嘗祭は、宮中行事としては存続し、今でも11月23日には天皇陛下が新穀を神に捧げ、自身も食するという形で、神恩に感謝し、国民・国家の平和と繁栄の為に毎年祈り続けてくださっています。また、一部の神社でもその年に収穫した新穀を奉納する形で新嘗祭は行われており、今も日本の大切な伝統行事として受け継がれています。正に日本のアイデンティティを象徴する新嘗祭。皆さんも、11月23日にご自宅でも氏神様でも構いません、日本・日本人の平和と繁栄の為に感謝と祈りを捧げてみませんか。
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【日本武道】
日本武道は、日本古来の尚武の精神に由来し、長い歴史と社会の変遷を経て、術から道に発展した伝統文化です。かつて武道は、「心技一如」の教えに則り、礼を修め、技を磨き、身体を鍛え、心胆を錬る修業道・鍛錬法として洗練され発展してきました。このような武道の特性は今日に継承され、旺盛な活力と清新な気風の源泉として日本人の人格形成に少なからざる役割を果たしています。
この「礼を修め、技を磨き、身体を鍛え、心胆を錬る」は、今の現代社会でも通じると思いませんか?
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礼を修め:礼儀を重んじ、心身を鍛え、道徳心を養い、人格を完成させる
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技を磨き:技術の向上だけでなく、精神と肉体を共に鍛え、人格を形成する
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身体を鍛え:丹田を意識した体幹の強化、礼儀作法、集中力、柔軟性の向上、新陳代謝の促進
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心胆を錬る:精神的な強さ、冷静さの涵養、忍耐力・克己心の育成、胆力(胆の据わり)の向上
武道を実践せずとも、日々の生活の中で実行できるものもあります。「心技一如」が表すように、技術や力(見えるもの)だけではなく、精神力(見えないもの)が伴わなければいけないのです。そう、人生の過ごし方と同じなんです。だから「〜道」なんですね。
<参考図書、ホームページ>
※久保田 榮一 著「神社検定公式テキスト②神話のおへそ」扶桑社
※日本武道館 武道の信仰・普及
